R・ケリーの『ハッピー・ピープル/ユー・セイブド・ミー』。2枚組で、1枚目がダンス曲、2枚目がゴスペル曲という構成。聴きながらのレヴューです。ちょっととりとめが無くなるかも知れませんがご容赦下さい。本来ならこれを改めてまとめるのがスジでしょうが、あえて考え進んでいる過程をお見せします。考える方としては楽してますけど・・・。1枚目と2枚目を分けてブログします。
【DISC 1】ハッピー・ピープル
①ウェザー・マン・・・ラジオのジングルとDJ的語りで、時代を戻します。ほとんどステ
ィーヴィー・ワンダー風の曲調でスタートします。2曲目に自然とつながります。
②レッド・カーペット(ポーズ、フラッシュ)・・・マーヴィン・ゲイ風の「フゥー」という掛け声もかかり、①同様ダンサブルな曲。試聴コーナーにDISC 1は「ダンサブル・サイド」とも書いてあったので、ほとんどこの感じかな?性急な所の無いゆとりのリズムは我々オールドスクーラー向きです。
③ラヴ・シグナルズ・・・曲は切れ間なく続きます。ベースの微かなチョッパーと、ドラムの奇をてらわないリズムが心地よい。ここまでヴォーカルも良い感じ。歌が少し上手くなったか(失礼な)?もっとも、声を張り上げる部分がここまでは無し。ふと、思ったけどこの人プリンスと組んだらどうかな?・・・プリンスがちょっと黒くなるだけの話か。ジングルのような「L・O・V・E」で次の曲へ。
④ラヴ・ストリート・・・やっぱり、あんまり歌は上手くないか。ちょっと声がひしゃげたような感じになる、そのひしゃげ具合が気にかかります。それはともかく、ダンサブルは曲は続きます。バック・コーラスも昔風のフレーズを披露。
⑤レディーズ・ナイト(トリート・ハー・ライク・ヘヴン)・・・ギターのフレーズが微妙なアクセントになっています。しかし、ずっとここまでノン・ストップでダンス曲続いています。
⑥イフ・・・のりのりだったDJが静かに語り始めます。やや落ち着いた感じ。まさか続けて歌ってないだろうけど、一部ヴォーカルが苦しそうになる感じもある。またしても、ふと思いましたが、スティーヴィー・ワンダーをゲストに読んだら面白かったかも・・・あまりにおなじような感じで駄目か。曲の盛り上がり部分で声を重ねて、終わるとまたDJ風になります。「無事着地した」印象。
⑦ザ・グレイテスト・ショウ・オン・アース・・・ラヴ・バラードです。あー、マーヴィンに歌わせたい。いやいや、もう言いますまい。ちょっとクサいけど良い曲です。再び「L・O・V・E」のジングル。
⑧イッツ・ユア・バースデイ・・・これもやや落ち着いた感じ。「トゥ・トゥ・トゥ、トゥ・トゥ・トゥ・トゥ」とややディスコ風合いの手。
⑨ステッピン・イントゥー・ヘヴン・・・雰囲気をちょっと変えるタイトなダンス曲。やっぱりベースとドラムが軸です。このアルバムをここまで聴いてきて、R・ケリー的メロディーより、古臭い基本的リズム隊が印象に残ります。盛り上がった所で再びDJ登場。
⑩イフ・アイ・クッド・メイク・ザ・ワールド・ダンス・・・これとかはメロディアスですね。しかし、リズムは変わりません。元々ベイビー・フェイスとかと比べると、リズムは強調している人では有ったか・・・。しかし、ただ踊るための曲というわけでなく、全体に漂う温かい雰囲気は最初からずーっと続いてます。この辺はスティーヴィーの影響か?
⑪ハッピー・ピープル・・・マーヴィン度大。「マーシー・マーシー」とか歌いそうな出だしだった。いやホント、何度も言いますが、リズムを基礎にしたメロディー創りという、R・ケリーらしさをまた表明したアルバムといえるでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=ZbKFoUhBRPs
【DISC 2】ユー・セイブド・ミー
①3ウェイ・フォーン・コール・・・今回楽しみだったケリー・プライスとの共演。出だしから来ました。DISC 1とはガラッと趣が変わり、解説に有った様に、ゴスペル風です。R・ケリーのこれまでの作品でも「ゴスペル」は重要な位置を占めています。もうひとつの重要な要素「官能」と「ゴスペル」は表裏一体です。気持ちを高ぶらせて、自分は孤独では無い事を知らしめ、愛を感じ心を豊かにするものです。スケベとかHのレベルではないものです。
ケリーの他にキム・バレルとモーリス・メイホーンも参加(不勉強で知りません)。
②ユー・セイヴド・ミー・・・タイトル曲が静かに歌われます。今回のアルバムに関しては、曲を整理して1枚にするという考えも有りますが、あえて彼はかつてのLPの感覚でA面とB面を創りたかったのではないでしょうか?聴く側にも雰囲気を変えさせ、R・ケリーの音楽に有るものをくっきりと浮かび上がらせ、より彼の存在が解りやすい作品にしたかったのかも、という気もします。
http://www.youtube.com/watch?v=CoT_7_nRgLY&feature=channel
③プレイヤー(Prayer)・チェンジズ・・・いかにもR・ケリー風バラード。DISC 1のようにリズムを強調するのも良いけど、こういうしっとり路線も泣けます。ゴスペル的コーラスがすかさず入れて、至上の時へ連れて行きやすい曲調です。R・ケリーの歌も一生懸命さが伝わります。
④ハウ・ディド・ユー・マネイジ・・・良い曲です。これはDISC 2の方が完成度が高いような感じです。1枚目での「ダンス曲集」というポリシーは理解しますけど・・・。そうかあ、そう考えるとこれはやっぱり2枚組で雰囲気を変えたのは成功かも知れません。
⑤アイ・サレンダー・・・バラードは続きます。ゴスペル・サイドというより、ゴスペルに影響を受けたバラード・サイドというのが正確な説明になるのかな。
⑥ホウェン・アイ・シンク・アバウト・ユー・・・R・ケリーの世界満喫ですね。結構歌も上手く聴こえます。こういう、バックが落ち着いた感じの方が彼に合ってるんだと思います。声を張り上げる部分も「聴ける」。
⑦ダイアリー・オブ・ミー・・・しっとり系。スティーヴィーぽさが出てます。やー、良い曲だわ。じわっと鳥肌立ってきます。この辺りの曲は甲乙付けがたく良い曲続いてます。
⑧スピリット・・・これはそうでもない。ちょっと盛り上げ方が急すぎる。タイトルからして気張りすぎたか・・・そんな単純な事はないでしょうけど。
⑨リープ(Leap)・オブ・フェイス(Faith)・・・また落ち着きました。いやあ、考えが二転三転して申し訳ないけど、やっぱり曲を絞って1枚にした方が良かったかも・・・本来ならそうすべき所だけど、どうしても分けたかったんでしょうね。どちらにしろ支持します。大団円的ゴスペル。クワイヤーと絡んだ時のヴォーカルワーク、なかなか自在な感じで良いです。
⑩ピース・・・さあ、最後の曲。平和を歌って終わりか。深い音のパーカッションをお供に歌い出します。後ろのコーラスも低く始まり、どこかアフリカ的、というか「民族的」といった方が近いか。終焉にふさわしい落ち着き方です。最後の最後は予想通り、アフリカのジャイブ・コーラスをちょっと匂わせ、すっと終わりました。しつこくなくお見事!
後、今回のはジャケットも昔のソウル風で、インナースリーブには、マーヴィンの『アイ・ウォント・ユー』のようなイラストも描かれています。彼に限らず、先人へのリスペクトを忘れず、しかも音で表現できる人は、今後も生き残り、素晴らしい作品を残してくれるはずです。
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