セルフ暑中見舞いとなったアマゾンの収穫(4)
http://diskunion.net/black/ct/detail/58C090328701
いくら私が物事を変わった方向から考えるのが好きだといっても、本アルバムを紹介するのに女性コーラス(ひとりの女性の複数の声?)の話から始めても良いものだろうか?
格別パワーが有ったり、キュートだったりする訳ではないが、大人の女性の余裕が生み出す可愛いらしさみたいなものを感じる。
そんな女性コーラスが、スタンの塩辛声に絡んだり、的確にフォローしたりするさまは、本盤の骨格の一部を成していると思うのだ。
今回アマゾンで買った4枚中3枚は、『ブルース&ソウルレコーズ』誌の名物コーナー「なんてったってインディソウル」で紹介されていたもの。そこで幾度となく名前が上がっているのがカール・マーシャル。自身もアーティストだが、プロデューサー仕事の方がより評価されている感じだ。
本盤もカールのプロデュース。これ一枚だけで判断するのは軽率だが、スタン・モズレーの魅力を生かす為のサウンド作りは確かに成されており、くだんの、潤いある女性コーラスも正鵠を得ていると思うのだ。
そんな音楽環境の中、スタンは、時に愉しげに、時に美しく、時に渋みを湛え、思う存分実力を発揮している感じだ。
ボビー・ウォーマックの「ザッツ・ザ・ウェイ・アイ・フィール・アバウト・チャ」にインスピレーションを受けたと明記してある曲は、包容力と切なさが滲み出ている。スタンの声はボビーよりは「ささくれだった」感じで、ブルージーだ。
かと思うと、カーティス・メイフィールドの「ソー・イン・ラブ」では絶妙なファルセットを聴かせる。カーティスは朴訥とした歌い口だが、スタンのは正統ファルセットで、スウィートネスに満ち溢れている。
アップテンポの曲での、例の女性コーラスとのやり取りも聴きどころ。気分が自然にウキウキとなる。
ラストの曲には女性コーラスがフィーチャーされていない。ゴスペル調なのだが、ひとり淡々と歌うスタンの、人間性まで見えてくるような歌唱に、思わず引き付けられる。
今回一緒に購入したカール・シムズ『ヘル・オン・マイ・ハンズ』の方が完成度としては高いかも知れない。しかし、本盤もまた十分に魅力的なのだ。音楽は「レベル」で決まるものではなく「タイプ」で決まるもの。カール・マーシャルの手腕は、そこに発揮されているのかも知れない。
♪"Lockdown"
http://www.youtube.com/watch?v=bfU_nrjovJs
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