[91枚目]●タジ・マハール『ライク・ネヴァー・ビフォー』<プライヴェート・ミュージック/BMGビクター>(91)
※本文を書くに当たり、西館彰芳さんのライナーを大いに参考にしています。
68年の『ザ・ナッチェル・ブルース』以来、サウンドトラックや編集盤も含め、25作目となる。この時49歳。78年までは<コロムビア><ワーナー>からリリースしていたが、以降はさまざまなレーベルを渡り歩き、本盤の<プライヴェート・ミュージック>からもこの他に3枚リリースしている。93年『ダンシング・ザ・ブルース』96年『ファントム・ブルース』97年『セニョール・ブルース』は、いずれも評価が高く、私個人も『ダンシング・ザ・ブルース』は好きなアルバムだ。<プライヴェート・ミュージック>は元タンジェリン・ドリームのピーター・バウマンが84年に設立している。
私にとってタジ・マハールというミュージシャンは、微妙な距離を感じながらも気になる存在だ。私のような人間をライナーで上手く表現されている。曰く「タジの音は、いつもサラッとした感触が心地よかった。だから、正統派ブルース・ファンには無視されてきた」。正統派の旗を掲げる人は、時にスクエアになりがちだ。自分が考えている(感じている)範囲を少しでもはみ出ると拒否反応を示す。一方、タジに限らずミュージシャン側は自由だ。その中でもタジは一等自由だと思う。私が感じている「微妙な距離」もその自由さを許容できないが故のプチ拒否反応なのだろう。本盤のタイトルは和訳すると「いまだかつてない」とか。タジの本音が窺える。
①ホール&オーツ、シェリル・クロウがコーラスで参加。ブルーズンソウル的展開が確かに新鮮味ある。②ギターでハイラム・ブロックが参加。ポップ寄りのソウルでテンプスのようなニオイも。③レゲエのフィーリング。ホール&オーツ、再びコーラスで登場、更にポインター・シスターズも。ラップスティール・ギターはデヴィッド・リンドレー。フーターズのエリック・バジリアンもギター。④安定のタジ節。ドクター・ジョンがピアノで参加。⑤はリトル・ウォルター曲。しかし、まともにはトレースしていない。ラフなセッションというか、ある意味フリーな感覚。ソニー・ローデスのラップスティール・ギター。お馴染みウルフの化身もチラリと。
⑥ジェリー・ウィリアムズの作曲。ギター、コーラスでも参加。「シェイク・ユア・ヒップス」のようなアーシーな乗りが際立つ。DJジャジー・ジェフの参加も「いまだかつてない?」。⑦ポインター・シスターズとデヴィッド・リンドレー再び。⑧72年のアルバム内にオリジナル有り。ドクター・ジョンとハイラム・ブロック。⑨ソニー・ローデス。⑩69年の3枚目がオリジナル。タイトルにも絡んでいる。ゴフィン=キング作。
今回繰り返し聴いていって、スクエアな頭も柔らかくなり、距離が近づいた感もある。現金なものである。音楽のチカラだ。
※セレクトしたユーチューブ動画には、オリジナルか、オリジナルをライブ演奏している物しか無い場合もあります。ご了承下さい。
① Don't Call Us
② River Of Love
③ Scattered(5分30秒以降無音。CDは違う)
④ Every Wind In The River
⑤ Blues With A Feelin'(2011年のライブ演奏)
⑥ Squat That Rabbit
⑦ Take All The Time You Need
⑨ Cakewalk Into Town 1973(73年のライブ演奏、オリジナル版)
⑩ Big legged mommas are back in style(2014年のライブ演奏)
⑪ Take a Giant Step(オリジナル)
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