レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.109 (2)
[118枚目] ● R・ケリー『愛の12プレイ』<BMGビクター>(94)
※本文を書くに当たり、鈴木しょう治さんのライナーノーツを大いに参考にしています。
(6)~(12)の曲をご紹介。前回の繰り返しになるが、今回お送りする曲の中で(7)(12)はティミー・アレンのプロデュースで、残りはR.ケリー本人のプロデュースとなる。尚、日本で作っている曲目リストでは「Intermission」という曲はないが、他の盤だと(6)に「Intermission」を付け加えているケースがある。本アルバムの裏ジャケには単独で「Intermission」と記してある。聴いてみると(6)の終盤に間が空いて曲が流れる部分が確かにある。それが「Intermission」となるのだろう。本レビュー上の表記については、日本盤の曲目リストに沿う事とする。(12)はいわゆる「Untitled Song」である。Discogsで各国のヴァージョンなどを見てみると「12 Play」と書かれた盤もある。尚、前回同様()内に日本の曲目リストに付記されている“邦題”を書いている。
6. I Like The Crotch On You(君の×××)
ディアンドレ・ボイキンスのラップ。ややニュー・ジャック・スウィング的なループ感が心地良い。 本アルバム全般に当てはまるが、この時期のラップはGファンクが主流なので、高速だったり激しかったりせずゆったりした乗りが好まれていたと思われる。R.ケリーもその路線を生かし自分のヴォーカルに合わせている。「Intermission」はまさに“休憩”の感覚。
4枚目のシングル。R&Bチャートで20位、ホット100で55位、イギリスのシングルチャートで23位となっている。ギャップ・バンドの82年作「Outstanding」をサンプリングしている。尚、アリーヤをフィーチャーしたリミックス盤では、スピナーズの70年作「It's A Shame」をサンプリング。本投稿最後に並べている画像の最初の物はUS盤、次がEU盤である(他にもUK盤の他、同じ国でも数パターン出ているようだ)。ラップと歌が均等にリズムに乗っているのは(6)と共通するものがある。ドラムのビートも良い。
伸び伸びとしたヴォーカルを筆頭に、リリカルなバラードに仕上がっている。ストリングスのアレンジをポール・ライザーが手掛けている。ライザーは、R.ケリーが96年にグラミー賞を受賞する「I Believe I Can Fly」 や2003年の「Step In The Name Of Love」といった彼の代表作のアレンジやストリングス指揮に携わっている。その他では、マイケル・J・パウエルがギターを担当している。
9. Back To The Hood Of Things(ストリートに帰れ)
ラッパーは、ディアンドレ・ボイキンスの他に実弟のキャリー・ケリーが入っている(本レビュー前回分に書いた、姉からの性的虐待を告発した人物)。ループの心地よさが全てである。
美しくも力強いバラード。女声コーラスはロビン・ロビンソンとイヴォンヌ・ゲイジ。ベースがロン・ホール、ギターがキース・ヘンダーソン(エモーションズやマンハッタンズ、シャイ・ライツの他、この曲に参加しているイヴォンヌ・ゲイジのアルバムなどで演奏している)、ピアノとオルガンがマイク・ローガン(L.V.ジョンソンのアルバムに参加)。
11. Sex Me (Part I) / Sex Me (Part II)(セックス・ミー(パートⅠ&パートⅡ))
ファーストシングルで、R&Bチャートで1位、ホット100で20位、キャッシュボックスで19位となった。ゆるやかなテンポに乗ってしなやかなヴォーカルを聴かせる典型的なR.ケリー・サウンドである。
エピローグにふさわしい静かに盛り上がる一曲だが、中盤以降の激しいシャウトが胸を打つ。
本アルバムのライナーノーツでは、今後が期待できるというような書き方がなされている。この段階ではまだ未知数だったわけだ。今、90年代初頭の黒人音楽シーンを振り返ると、ヒップホップとR&Bの融合が上げられるだろう。そしてその動きは音楽界の主流に進出する勢いを持った。豊かな歌心をたたえながらヒップホップ感覚がトレンディーなR.ケリーやメアリー・J・ブライジなどがその代表格と言えるだろう。メアリー・J同様に、R.ケリーは完成度の高い作品を作り続けるのだが、そのエキスみたいなものが本アルバムに存在する事を改めて感じた。













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